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2026年5月23日 17:31 配信

2026 フィル・ニューカム杯 レポート

2026年5月1日(金)から5月3日(日)にスペインのマラガにおいて、フィル・ニューカム杯並びに成山師範による講習会が開催されましたのでご報告します。

フィル・ニューカム杯開会式における成山哲郎師範ご挨拶

2026年5月2日

本日はフィル・ニューカム杯の開催、誠におめでとうございます。こうして多くの皆様からの参加によって大会が開催されますことに、先ずは心より感謝申し上げたいとおもいます。

フィル道兄との出会いは1982年、私が初めての海外指導としてロンドンを訪れた時のことでした。その翌年、彼は約9ヶ月の間、昭道館において集中的に私の指導を受け、その後も度々、昭道館で学ばれました。

彼は私の生徒ではありますが、私が最も信頼する同志でもありました。彼が持つ芯の強さと情熱、そして周囲を魅き寄せるその包容力は、まさに我々指導者の範となるものでした。

彼の逝去から約8年の歳月が経ちますが、その遺志は今でもこうして多くの方へ受け継がれ、そしてこれからも受け継がれていくことを私は心より信じております。ここに改めてフィル道兄の遺徳を偲び、本大会の成功を祈念したいとおもいます。

さて、この場をお借りしまして、去る4月11日、東京都国分寺市に於いて、皆様からの温かい絶大なご支援のもと、我々の専用道場が開設されましたことをご報告いたします。ご来日の折は、ぜひ東京道場にも足をお運びください。

簡単ではありますが、本大会の挨拶に代えさせていただきます。

昭道館長 成山哲郎

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ケリー・ニューカム様よりご挨拶

フィルにとって合気道は単なる趣味ではなく、人生そのものでした。40年にわたる稽古の中で、合気道は彼に大きな喜びを与えてくれました。それは自身の成長や成果だけでなく、わざを人々と分かち合い、学びへと導くことに喜びを感じていたからです。

常に謙虚な人柄でしたが、合気道を通じて困難を抱える人々が正しい道を歩めるよう支えてきたことを、彼は誇りに思っていました。また、合気道は英国国内のみならず、ヨーロッパ、そして世界中の志を同じくする仲間たちと出会い、技を交流し、時には杯を交わす素晴らしい機会でもありました。

スペインチームを率いて日本を訪れたことなど、合気道はフィルに多くのかけがえのない思い出をもたらしました。そしてそれは、彼の人生を形づくり、彼を特別な人物へと育んだのです。

フィル・ニューカム杯という形でその名が後世に残されることを、彼自身も大変光栄に思うことでしょう。

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2026フィル・ニューカム杯 報告書

2026年5月1日(金)~5月3日(日)

スペイン/マラガ

酒井進之介

  1. 講習会及び競技会

5月1日(金)

於: Daikan Dojo

16:00~18:00 成山師範による講習会 77名

体操

後受身

後奥襟取りに対する押倒逆手取り小手捻・小手返

前襟取りに対する押倒・押倒逆手取り小手捻・手首抑えから下段払(上段の崩し)

前両手取りに対する肘極め倒し・肘極めから押倒逆手取り小手捻・離脱から手首抑え

護身の形徒手立技1~3本目の技のつながり

統一力と脱力

中段の崩し: 相構え片手取りに対する相構当2通り

下段の崩し: 〃

上段の崩し: 小手返2本.・相構当

18:15~19:00 審判講習会

コートスタッフ

 ボード係2名・呼出し/記録/紅白帯の受け渡し係2名・計時係1名それぞれの動き方

ルール改定(一本6点・技有4点・有効2点)

優勢の判定まではコートスタッフが旗で判定を伝える

 コート運営を含めて審判員が責任を持って行うこと

主審と副審

 ジェスチャーの確認

 3人制審判の進め方(3人の眼で競技運営を行う)

 「引き分け」及び僅差の判定基準

 「痛み分け」「反則負け」の取り扱い

ルール改定(指導を減らす・技の先取制廃止)

ルール改定の意義と要点

 今大会は昭道館連盟が行っている競技ルールによって行う。(以下2点を主に反映)

 WSAFにて実施: 「指導」を減らす(場外・道衣持ち等)/得点(技ポイント)の変更

 昭道館連盟が実施(WSAFへ提案中): 「技の先取り制」廃止

19:15~20:30 昇段審査会

四段3名

伍段1名

5月2日(土)

於: Sports Centre de Ciudad Jardin

10:00~12:30 演武競技

無段の部(乱取基本の形17本): 13組(スペイン10組・イギリス2組・スイス1組)

有段の部(古流護身の形16本): 13組(スペイン5組・イギリス9組・スイス1組)

13:30~15:00 審判講習会 ※内容は初日と同じ

15:15~18:00 短刀乱取競技男女個人戦

男子の部: 23名(スペイン10名・イギリス9名・スイス3名・日本1名)

女子の部: 11名(イギリス10名・スペイン1名)

5月3日(日)

於: Sports Centre de Ciudad Jardin

10:00~12:30 成山師範による講習会 97名

体操

成山師範講話

運足

六方向の体捌き/入身/つくり/かけ(受身無し)

短刀突きに対する当身技勝機の捉え方(尽きたる/起こり)

短刀突きに対する当身技の掛かり稽古

13:30~15:30 成山師範による講習会

刀法と手刀動作

木刀の素振り(歩み足/切返/巻突/八相/脇構)

護身の形組太刀1・6・7本目

関節技手刀のつくり/握り返しのつくり/肘持ちのつくり(上段のみ)

関節技肘持ちのつくりからの掛かり稽古

B. 所感

今大会は、ヨーロッパにおける合気道競技の普及に多大な貢献をされたフィル・ニューカム先生を顕彰して、昭道館館長の成山哲郎師範をスペイン・マラガに迎えて、講習会と共に競技大会がスペイン・マラガで開催された。日本からは今回遠征の指導アシスタントとして、ジョーアダムスさん(伍段)、樋口功祥さん(参段)、そして中国から熊天宇さん(参段)も参加して、共に今大会をサポートして参りました。

10数年ぶりとなる成山師範の訪欧指導稽古に、参加者も一様に充実した貴重な時間を過ごすことができました。指導稽古の内容は初日が我々の合気道に関わった先人の技をたずねる意味で様々な先生方の技と考え方が紹介されました。翌々日に開かれた2回目の講習では富木謙治師範がその晩年に我々の合気道の方向性として示された当身技と関節技のつくり、そして古流護身の形の中に残されている組太刀から抜粋の内容が、地力をつける素振りの内容と共に紹介されました。

講習会全体を通して、運足や手刀動作といった我々の最も基本的な内容が、無段から有段者に至るまで正確に行われていたことに成山師範は感銘を受けておられました。

2日目の競技大会では、演武競技において基本に忠実な日頃の稽古内容が垣間見える、整合性ある演武の内容でありました。乱取競技においては事前に行われた審判講習会における参加者の熱意ある取り組みにより、審判員はよく競技をコントロールしており、またスタッフも正確に滞りなくコート運営を進められていたと感じております。競技内容においてはどの試合でも見応えのあるものでしたが、特に男子決勝戦においてはお互いに守りに入らず、技の応酬が見られる素晴らしい内容でありました。

以上

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フィル・ニューカム杯 合気道競技大会:大会結果

【演武競技】

〇 無段の部: 基本技17本

優勝 Susana Mediavilla Racero – Guillermo Franco Bueno (スペイン)

準優勝 Gagan Chana – Hana Ferdous (イギリス)

第3位 Andrés Sotorrio – Eduardo García (スペイン)  

〇 有段の部: 古流護身の形(16本)

優勝 Melissa Holmes – Milan Patel (イギリス)

準優勝 Adeline Chanseau-Rigby – Adrian Van Kampen (イギリス + スイス)

第3位  David Fernández Moreno – Nicolás de Troya Hernado (スペイン)

【乱取競技・Randori Events】

〇 女子の部(個人戦)

優勝 Rachel Johnson (イギリス)

準優勝 Adeline Chanseau-Rigby (イギリス)

第3位 Melissa Holmes (イギリス)  

〇 男子の部(個人戦)

優勝 Rory Daniels (スペイン)

準優勝 樋口功祥 (日本)

第3位 Frederick Johnson (イギリス)