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2018年5月9日 13:01 配信

第4回越山杯のレポート

第4回越山杯のレポート
日時:2018年4月28日(土) – 4月29日(日)
会場:スイス、ジュネーヴ州、ランシーパレット道場

越山進吾先生は富木謙治師範のご指導を受けた後、富木師範の推挙により、スイスで昭道館合気道を普及された。越山先生が18年前にお亡くなり、スイスのメンバーが越山先生の記念大会として2008年に越山杯がスタートした。今回は第4回目で、スイス、イギリス、スペインをはじめ、色んな国からヨーロッパの昭道館合気道のメンバーが集まり、とても楽しい大会となった。成山哲郎師範、山形雅章先生、酒井進之介先生を含めて、日本からも10人が参加した。

4月28日(土)

1日目は合気道競技大会だった。演武競技は無段の部(基本徒手十七本)と有段の部(古流護身の形ー座り技から立ち技まで 16本)の二つの種目に分けられた。短刀乱取り競技は男子個人戦と女子個人戦に分けられた。

無段の部は、まだ基本の17本をちゃんと覚えてない組が幾つかあり、レベルの差が結構あったと思うが、周りの皆が激励し良い雰囲気を作ったこともあり、初心者の方にとって、とても良い経験になったのではないか。優勝したスイス組がとても上手だったと思った。 有段の部は、全体的に演武をした組、全員が大変上手かった。取りも受けも、とても丁寧な正確な演武をされたと思う。中でもトーリンベルト文加先生(旧、山崎文加先生)と夫のロリスさん組の優勝した演武は、本当に素晴らしい演武をされたと思う。上位の組に比べても、さらにレベルの差があったと感じた。因みに、無段の部の優勝組と有段の部の優勝組とも、去年のイギリス世界大会の際でも、大活躍し、入賞した。今回の越山杯の有段の部の準優勝組も、過去の世界大会の演武優勝者だった。そういう意味では、今回の越山杯の演武のレベルが世界大会の決勝のレベルと同じと言っても間違いないと言える。

短刀乱取り競技は、皆が正々堂々と潔く試合をされたと思う。勝ち負け関係無く、とても良い雰囲気があって、試合を通じて皆が仲良くなって良い交流が出来たと思う。 競技大会が始まる前に、審判講習会が行われ、酒井先生が短刀乱取り競技規程の説明をされた。本大会で審判をされた方だけではなく、初心者の方も参加し、皆が酒井先生の説明に、熱心に聞き入った。全体的に本大会の審判のレベルも高かったと思う。 競技大会が終了した後、楽しい宴会があって、とても盛り上がった。

4月29日(日)

2日目に昭道館合気道の講習会が行われた。成山師範のご指導の下、1日を渡って3つのセミナーが行われた。そのうち、最初の2つのセミナーが一般のメンバーに向けて、3つ目のセミナーが有段者や指導者向けだった。しかし、全員が大変熱心に成山師範の指導を受けたので、成山師範もそれに応えられ、一般メンバー向けのセミナーの中でも上級の内容を指導なさって、有段者にも大変貴重な勉強になった。

第一回の講習会:9時30分~11時30分 参加者62名 「本日に集まったメンバーの皆が単独と相対基本を大変良く出来た。それがとても素晴らしい。富木謙治師範が遺して下さった基本練習が我々の一番大事な練習だ。富木師範は、その練習の中に合気道の極意が入ってる、とよくおっしゃった。でも基本は基本のためじゃない。基本で学んだ事を技の中で活かせなきゃいかん。それがとても大事だ」(成山哲郎師範) 先ず、成山師範が運足と体捌きの違いを指導為さって、その上に6方向の体捌き、入り身、作りを指導なさった。自然体と半身の有効性のお話しもいただいて、それとどの段階でも移動力がとても重要というご指導も受けた。その後、基本の当身技に戻って、成山師範からご説明をいただいた。その際、技のやり方の説明だけではなく、なぜ各当身技の名称が付けられてる事と実際に急所を攻める事のお話もいただいた。次いで、手刀動作と武器の関係のご説明をいただいた。続いて、成山師範が後の先の崩しの応用として当身技の応用をご指導為さった。

第二回の講習会:13時00分~14時45分 参加者60名 午後の講習会は武器の内容が中心だった。成山師範が古流護身の形の中から太刀取り5本と槍取り5本を指導なさった。技の細かいポイントまでご指導をいただいた上に、相手の攻撃に対して完全防御する事が大事というご指導もいただいた。「相手がお人形さんじゃないから、乱取りだけじゃなくて、形でも嘘があってはいけない」(成山哲郎師範)

第三回の講習会:15時00分~16時00分 有段者のみ 参加者39名 武器技の時、特に武器の操法の時、「生きた技」になるため素振りがとても大事というお話しを成山師範からいただいた。最後の講習会が有段者や指導者向けだったので武器技を既に知っていた方が何人かおられたが、本物の技に近づくため、木刀と杖の素振りの練習を中心にした。十分に素振りを練習した後、古流護身の形の中から槍の穂先に組み付かれた場合の技8本と組太刀8本の練習が行われた。最後に、やり方を覚え、毎日素振りの練習を継続していく事がとても大切というお話しをいただいた。

2日間に渡って、ヨーロッパのメンバーが熱心に競技をして、セミナーに参加したことに感動した。皆とても仲良く練習したので、本当に良い雰囲気が良く、大変良い大会になったと思う。 最後になりましたが、主催したスイスメンバーの持てなしが本当に素晴らしかった。心より感謝いたします。次回の越山杯を楽しみにしています。